連続テレビ小説『ばけばけ』(NHK総合)がいよいよクライマックスを迎える。主人公・トキを演じる髙石あかりと、その夫・ヘブン役のトミー・バストウをはじめ、演技巧者たちよる名シーンの数々が思い出されるが、その陰で人知れずドラマを支えた“名脇役”がいた。それは、料理だ。
NHK大阪放送局(通称BK)制作の歴代の朝ドラに出演したキャストたちが異口同音に「消え物(シーンで出される食事)が美味しすぎて、カットがかかってもずっと食べている」とコメントしている。今回も収録現場で髙石あかりが「はぁ~」と息を吐き、トミー・バストウがステーキにテンションを上げ、そしてキッチンに何度も“つまみ食い”に訪れたキャストまで……。
朝ドラでは14作品、BKの朝ドラでは13作連続で料理指導を担当しているフードコーディネーター・広里貴子さんに、出演者たちが愛してやまない「『ばけばけ』ごはん」のこだわりを聞いた(全2本の1本目)。
小泉八雲の曽孫に聞いた「八雲が好んでよく食べていたもの」
――以前のインタビューで、毎回朝ドラの制作が決まるとすぐさま舞台となる地域に飛んでいって、取材をされるとうかがいました。『ばけばけ』の料理制作も、まず松江の取材からはじまったんでしょうか。
広里貴子さん(以下、広里) そうなんです。『ばけばけ』の取材は2025年の2月から、前作の『おむすび』(2024年後期)がクランクアップしてすぐ、松江に行きました。
――松江ではどんな方に取材されたんですか?
広里 地元の漁業組合の方、松江の料理人の方たち、それから、道の駅で働いているご婦人方にも取材をしました。小泉八雲記念館に行って、小泉八雲さんの曽孫で『ばけばけ』にもご協力携いただいている小泉凡さんにもお話をうかがえたのがありがたかったです。八雲さんが好んでよく食べていたものを教えていただきました。出雲そばをはじめ、和食もよく食べていたとのことで、『ばけばけ』でヘブンさんが食べる料理に活かされています。
――子孫の方からの証言は貴重ですね。
広里 八雲さんは卵がお好きだった、ということで花田旅館でヘブンさんの朝食にはエッグスフーフー(目玉焼き)を欠かさず出したり、ヘブンさんとトキちゃんの結婚パーティーでも、松江の伝統料理が並ぶ中、大量のエッグスフーフーを盛り付けた一皿をプラスして遊び心を出してみました。ちなみに花田旅館でヘブンさんが飲んでいた生卵は、黄身がオレンジジュース、白身がレモンジュースのゼリーでできています。それぞれ「らしい」固さになるようにゼラチンの量を工夫しました。
――物語の大事な役割を担う「しじみ」についても相当なこだわりがあるのでは。





