最終盤に突入した連続テレビ小説『ばけばけ』(NHK総合)の名シーンの数々を彩った「料理」。『ばけばけ』を含むBK(NHK大阪放送局)の朝ドラに『ごちそうさん』(2013年)から13作連続で料理指導として携わっている広里貴子さんに、その並々ならぬこだわりを聞いた(全2本の2本目)。

「ばけばけ」で料理指導を務めた広里貴子さん。料理が好評すぎて“つまみ食い”に訪れるキャストが後を絶たなかった(C)NHK

――現在の朝ドラの1週間のスケジュールはリハーサル1日、撮影4日と聞きますが、広里さんのタイムスケジュールはどんな感じなのでしょうか。

広里貴子さん(以下、広里) 私はリハーサルを除いた撮影日に合わせて火曜日から金曜日の週4日出動で、BKに行く日は毎朝6時半ぐらいから市場へ行きます。その朝に出た魚を買ったり、元々注文してあった食材をピックアップしてから、7時あたりにBK入り。スタジオに併設された厨房で仕込みに入ります。撮影はだいたい9時ごろから始まるので、この2時間で準備して臨む感じですね。

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――どんな準備をされるんでしょう?

広里 まずお米を洗ってご飯を炊く。煮物を作ったりする場合は昆布や鰹節からお出汁をひいて、アシスタントと共に、その日に出す料理の下ごしらえを複数同時進行でやります。今回、『ばけばけ』でいつもと違ったのは、朝一番で取るお出汁の量。他の朝ドラだとお味噌汁の分もあるので、かなりの量のお出汁が必要になるのですが、宍道湖から取り寄せたしじみで作るしじみ汁は、他の出汁を一切加えず、水だけで十分に美味しいんです。

トキがヘブンの女中になってからは少し暮らしが楽になり、朝餉のおかずも増えている。この日はいわしの塩焼きと、厚揚げの煮物、しじみ汁、たくあん、麦飯入り3分づきごはん (C)NHK

朝7時にスタジオ入りし、22時までずっと厨房に

――しじみのポテンシャルに気づかされた朝ドラだったと。夜は何時ぐらいまで厨房に?

広里 日によってまちまちなのですが、撮影はだいたい21~22時ごろまで。終わりまでずっと厨房にいます。1日のうちに数回ある食事のシーンの準備と「出し」以外の、いわゆる「待ち」の間には、次の日の料理について助監督と打ち合わせをしたり、前もって下ごしらえを進められるところは進めたりと、やることがたくさん。意外と空き時間がないんです。

――そして撮影の合間には岡部たかしさんがつまみ食いをしにやってくると(笑)。

広里 そうですね(笑)。岡部さんだけじゃなくて他の皆さんもちょくちょくいらっしゃいました。そんなことも楽しくて。

トキが銀二郎(寛一郎)を追って、錦織(吉沢亮)たちと共に暮らす東京の下宿を訪ねた翌朝の朝餉。前の晩に錦織が差し入れで買ってきた鰻ときゃらぶきの佃煮の残りに加え、トキが行商から買った豆腐やアサリなどを使って手早く作ったという設定。広里さんいわく「当時は鰻も庶民が手にしやすい食材でした」とのこと (C)NHK

――これまでの朝ドラと違う、『ばけばけ』ならではの工夫や、大変だったことはありますか?