完璧に見えたハイスペックイケメンの正体は、愛ではなく「条件」で交際相手を選ぶ、冷酷な人間だった――。漫画『のんのんの日常チャンネル』は、人間の核心を突く鋭い観察眼とキュートな絵柄で、不器用な男女の関係を描く新感覚のラブコメディである。

 紙版の単行本1巻と電子版の3巻発売を記念し、中毒性の高い異色作である本作の魅力について、作者の路田行に聞いた。

『のんのんの日常チャンネル』(3)(文藝春秋)

「キショさ」に共感してしまう不思議な読み味

 本作は、見栄っ張りなズボラOL・ののと、彼女のSNSを特定したハイスペック男子・三里の奇妙な恋愛を描いてきた。途中、三里の打算的な本性が露見するが、ののは全てを知ったうえ、彼に真っ向からぶつかっていく。

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 3巻のハイライトは、ののが三里の家のインターホンを押せずに何度も立ち去り、それをモニター越しに見た三里が「キショい」と毒づきながらも、なぜかそんな彼女を愛おしく感じてしまうシーンである。

インターフォンの録画に気づく三里

 この場面について、路田行はこう語る。

「自分の中にキショさを見つけた時、同じようなキショさを持ってる人を見ると『キショいなぁ…』という引いた気持ちと『存在してくれてありがとう…分かるよ…』という安心したような気持ち、もっといくと愛おしいような気持ちが出てくることがあります。

 このシーンは好きな人が自分と似たようなキショさを持っていたら、結構ハッピーかもしれない…という思いで描きました。全肯定しているのではなく、行動自体はキショいとも思ってるところもポイントです。」

「キショいなぁ……」

「行動自体はキショいとも思ってる」けど、好き…キャラクターの絶妙な距離感が、本作をただのラブストーリーとは一線を画す、クセになるエンターテインメントに引き上げている。