まずは焦りがあった。婚活当初は多くの見合いが成立したが、年齢を重ねるごとに「お断り」されることが増えた。とりわけ40代になると、100人の女性に「お見合い希望」を出して1人にOKされるかどうかという低確率に直面した。ようやく見合いに臨んでも、翌日には「お断り」されて仮交際に進めない。
そんなとき先の女性との見合いが成立、武井さんは42歳になり、それまで費やした婚活費用は総額600万円に達していた。
「これが最後のチャンスかもしれないと思いました。以前のお見合いでは自分を盛ったり、積極的に話しかけたりしてたけど、かえって女性に引かれることも多かった。だからもう気取らずに自然体でいこう、それでダメなら仕方ないという気持ちもありましたね。そしたら向こうも同じことを考えていたんです」
相手に対して感じていた“ある不安”
相手の女性は当時38歳、婚活歴は武井さんを上回る10年だった。長い婚活に甘んじてきた彼女も「これが最後のチャンス」と考えていたようで、思いのほかすんなりと仮交際へ進んだ。一方で武井さんは、ある不安を覚えてもいたという。
「正直に言えば、彼女に対してそこまで熱い気持ちはなかったんです。それは向こうも同じかもしれないけど、お見合いで出会うわけですから、一目惚れでもない限りすぐに恋愛感情は湧かないですよね。もうひとつ、それまで期待しては失敗ということが多かった。何十人と会ってもうまくいかないと自己否定の塊になるので、どうせ今回もダメだろうと、あえて感情を抑えた部分もあります」
おまけに女性は電車で片道2時間の街に住んでいた。勤務形態や休日も違うため、互いの予定を合わせるのも容易ではない。気持ちの部分で距離を感じるだけでなく、物理的な点でも懸念があった。
それでも互いに「お相手」候補がいなかったため、ほどなく1対1のデート、つまり真剣交際がはじまった。勤務シフトを調整して武井さんが彼女の住む街に出向いたり、中間地点の駅ビルでお茶を飲んだりして2ヵ月が過ぎたころ、担当カウンセラーから「真剣交際は3ヵ月まで」とクギを刺された。
カウンセラーによると、真剣交際の期間が長くなるのは女性に不安を与えるのだという。先行きがはっきりしないまま月日を重ね、仮にその交際がダメになればとんだ時間の無駄になってしまう。お互いに「最後のチャンス」と考えるのなら、なおさら早いうちに結婚の意思を固めてほしいと迫られた。