「なぜか結婚できないウチの子」に悩む親をターゲットにした新たな婚活ビジネス「代理婚活」が盛況だ。親が当人に代わって交流会に参加し、「お相手」候補の親と知り合って見合いや交際のきっかけを作る。大事な我が子に幸せになってほしい、それが参加者たちの動機だ。
ここでは、自身も2人の未婚の息子を持つ母親であり、長年家族問題を取材してきたジャーナリストの石川結貴さんによる『ウチの子の、結婚相手が見つからない! 親の代理婚活でわかった「結婚の壁」』(文藝春秋)より一部を抜粋。石川さんが初めて参加した「代理婚活」の現場レポートをお届けする。(全4回の2回目/最初から読む)
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「お相手」候補の親と対面する
「はじめまして。45番なんですが……」
胸から下げた番号札を示しながら、私は第一候補の母親に声をかけた。白いカッターシャツにベージュのジャケット、白髪交じりのショートヘアでほとんど化粧もしていない。どちらかと言えば地味な印象は、かえって好感度が高かった。
彼女の娘を第一候補に挙げたのも長男との年齢の近さに加え、リストの「親から見た性格」の箇所に〈堅実、思慮深い〉とあったからだ。母親の向こうに、よく似た娘の好感度が浮かぶようで、私はつい期待した。
「どうも。こちらこそはじめまして。ええっと、45番の方ですね」
相手はそう言うと、手元の男性リストをめくり、45番の箇所をまじまじと見た。
「息子さんは36歳、会社員の方ですよね。失礼ですが、年収はおいくらですか」
えっ? と言いかけ、口の中が乾いた。いきなりこんなカウンターパンチをくらうとは、まったくの想定外だ。必死に動揺を抑えながら、私はどうにか言葉を探した。
「お相手の年収とか、気にされるんですか」
「ええ、そうですね」
こちらの動揺とは裏腹に、相手は落ち着き払っている。
「ちなみにどれくらいの年収の方をお望みなんでしょう?」
「まぁ1000万円くらいが希望ですね」
