「なぜか結婚できないウチの子」に悩む親をターゲットにした新たな婚活ビジネス「代理婚活」が盛況だ。親が当人に代わって交流会に参加し、「お相手」候補の親と知り合って見合いや交際のきっかけを作る。大事な我が子に幸せになってほしい、それが参加者たちの動機だ。

 ここでは、自身も2人の未婚の息子を持つ母親であり、長年家族問題を取材してきたジャーナリストの石川結貴さんによる『ウチの子の、結婚相手が見つからない! 親の代理婚活でわかった「結婚の壁」』(文藝春秋)より一部を抜粋。石川さんが初めて参加した「代理婚活」の現場レポートをお届けする。(全4回の1回目)

画像はイメージ ©maruco/イメージマート

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「男性リスト」、「女性リスト」を目にすると……

「45番です」

 受付列の先頭になって告げると、女性スタッフが長机に広げられた名簿をチェックした。45番とは事前に主催業者から割り当てられた番号で、会場内で名前の代わりに使われる。

「はい、45番の方ですね。お座席はテーブルKになります。こちらの番号札を胸に下げて、指定の席でお待ちください」

「45」と書かれたプラスチックの番号札には、細いストラップがついていた。言われるまま胸に下げ、レセプションルームに入った私は、その光景に思わず足が止まった。

 白いクロスに覆われた円卓の中心に、テーブルナンバーを示すAからPまでの立札がある。ひとつの円卓を8つのイスが囲んでいるから、参加者の合計は130名近い。

 すでに8割方の座席が埋まっていたが、フォーマルな装いが多い参加者とは対照的に、円卓には一輪の花も飾られていなかった。開始時刻は午後1時、昼食時にもかかわらずフォークやスプーンのセットはおろかコーヒーカップさえ見当たらない。戸惑いながら周囲に目をやると、壁際のカウンターに水の入ったピッチャーとグラスだけが並べられていた。

 まさか水だけ? 事前に参加費の1万6000円を振り込んでいたから軽食くらいは出るだろうと目論んだが、いきなり拍子抜けだ。ともかくも指定の席に座ったが、Kの円卓に同席する親たちには笑顔もなく、むしろ近寄りがたいような硬い雰囲気が漂っている。

 私の右隣、父親と思われる男性は真剣な表情で円卓に置かれた資料をめくっていた。左隣の母親らしき女性はボールペンを手に、なにやら忙しげにメモを取っている。向かい側に並んだ男女は夫婦そろっての参加なのか、顔を近づけ小声で話し合っていた。