むろん息子、または娘の顔写真も大きく貼付されている。なにしろその場にいるのは親だから、「お相手」となる当人の顔が必須なわけだ。
あくまでも参考例として、また実物より記載項目を減らしているが、私の長男の情報をもとに身上書のフォーマットを挙げてみよう(表中の○○は本来すべて実名や実際の名称、直近半年以内に撮影した顔写真を貼付する)。
個人情報を交換することへの懸念
事前に身上書の項目を記入していたとはいえ、率直に言って少なからず懸念があった。プライバシーが重視される社会状況で、本人や家族の個人情報を子細に明かしていいものか。おまけにこの身上書を提示する相手は今日この会場ではじめて会った親、いわばどこの誰とも知らない人だ。その場限りでチラリと見せるならともかく、さらに大きな懸念があった。交流会、すなわち親の代理婚活の目的は「身上書の交換」なのだ。
チラ見せどころの話ではなく、仮に交換となった場合、我が子に関する子細な個人情報は相手が持ち帰る。むろんこちらも相手側の個人情報を持ち帰るのだが、前述したようにどこの誰とも知らない、その場ではじめて会う人の手に渡るというのは互いにリスキーな話だろう。
実際、主催業者からは身上書の交換についての注意が伝えられていた。会場内で親同士がよく話し合い慎重に判断する、交換後に子ども同士の見合いが成立しない場合は速やかに相手に返送する、なんらかのトラブルがあっても主催業者は一切の責任を取らず苦情も受けつけない、そんな内容だ。
「連絡先」として親の住所や電話番号があるのは、交換後の親同士のやりとりを想定しているからだ。親が持ち帰った身上書をもとに子どもと話し合い、見合いに進むのか、それともお断りして相手側に返送するかを判断する。こうした交渉や連絡はすべて親が行い、仮に子ども同士の見合いが決まった場合でも親の同席が推奨されていた。
代理婚活も親なら、相手側と交渉するのも親。おまけに見合いにまで顔を出すとは失笑されても仕方ない話だが、おそらくトラブルを減らすためだろう。たとえば子どもが一人暮らしの場合、本名に住所、勤務先や顔写真まで知られた相手からストーカー被害を受ける可能性も否定できない。だからこそ積極的に親が関わり、何事かあれば親同士で話し合うという想定のわけだが、それでも完全なリスク回避にはならないだろう。繰り返しになるが身上書を交換し、交渉する相手は、今日この会場ではじめて会った人なのだ。
