アメ横で仕入れたマリナーズのスタジャン
萩原 もちろん使ってないところもいっぱいあるんだけどね。大滝さんは中学生のときと何にも変わらないまま、90年代になっても当時の音楽が大好きだったので、今流した音源の話に出てきたナンシー・シナトラの「TONIGHT YOU BELONG TO ME」という歌も、大滝さんがプロデュースした満里奈さんのアルバム『Ring-a-Bell』でカバーしていましたよね。
渡辺 能地祐子さんが訳詞を書いてくださって、「ばっちりキスしましょ」というタイトルになっているんですけど、「そんなに思い入れのある曲だったんだ!」っていうのが本を読んでわかって感動しました。
萩原 満里奈さんがひとりでコーラスも入れながら歌っていて。大滝さんの頭の中では、満里奈さんのガールズグループみたいにして、「マリナーズ」って呼びたかったと(笑)。
渡辺 そうなんですね。30年前の当時は「あの大滝詠一さんにプロデュースしていただける」というので浮き足立っていて「嬉しい、嬉しい!」というだけで深くわかっていなかったんですけど、今回再発するにあたり、CDのクレジットを見ていろんなことを考えたら、本当にすごいことだったんだなって。今になってしみじみと……。
萩原 当時、気づいておけばよかったねえ(笑)。でも大滝さん、「ばっちりキスしましょ」という曲が、「あのアルバムの中で一番自分の願いが叶った曲なんだ」みたいなことをずっとおっしゃっていましたよ。そういえば、まだイチローが入団する前のシアトル・マリナーズのスタジャンを、大滝さんがわざわざアメ横まで行って仕入れてきて、満里奈さんに着せてましたよね。
渡辺 はい、スタジャン着て写真を一緒に撮りました(笑)。当時の大滝さんは、ドジャースにいた野茂(英雄)さんをすごく応援していらして。
萩原 ナイアガラのロゴのマークって、ドジャースのロゴと似てるよね(笑)。
渡辺 当時はまだ大リーグの中継も、今みたいに全部放送しているわけじゃなかったのに……。
萩原 大滝さんはハマるととことんハマる。ひとつの野球チームを好きになったら、全チームのことを知らないと、好きだとは言えないという性格ですから。少年時代の大滝さんが12球団全チームのマークを自分で手描きした野球帽を被っている写真も、今回の本に載っています(笑)。
渡辺 野球たとえも、ちょいちょい出てきますね。


