僕の本は大滝さんの「記録」です

『幸せな結末』を読むと、大滝さんの音楽の背景にどういうものが潜んでいるのかが理解できると思います」(萩原さん)

萩原 「金曜日のウソつき」は、大滝さんにアレンジも全部やれって言われたんで、当時僕が一緒にやっていたミュージシャンたちと作ったんです。

渡辺 トータス松本さんや伊藤銀次さん(ウルフルズのプロデューサー)がコーラスで入ってくださっているんですよね。私、あの頃、新宿にあった日清パワーステーションでやっていたウルフルズのライブに、大滝さんと一緒に行ってるんですよ。

萩原 大滝さん、満里奈さんを連れて、いろんなものを見に行ってましたもんね。

ADVERTISEMENT

渡辺 アルバムをプロデュースしてくださる際に、私が「どんなものが好きで、何を面白いと思うのか」というのを、たくさんお話をする機会を設けてくださって。

萩原 「金曜日のウソつき」は、満里奈ちゃんの楽曲の中でもちょっと変わったタイプの曲だよね。ずっとぼやいているみたいな。

渡辺 レコーディングのときトータスさんが、大滝さんから急に「正月のモチつき」っていう替え歌を歌ってくれって言われたと(笑)。

萩原 今回、その曲もボーナス・トラックとして入っていますけど、その場で大滝さんが伊藤銀次さんに「これの替え歌を作れ」って歌詞書かせて。

「『Ring-a-Bell』は若い世代の人たちにも聞いてほしい」(渡辺さん)

渡辺 大滝さんには「無茶ぶり」と「何でも録っておく」というのがあって、それがあるから、今、歴史を振り返られるというか。去年、ナイアガラ50周年のコンサートに出させていただいたときに、大滝さんのカウントの声が流れて。あれもレコーディングするときに、カウントから録っていたからこそ、ああいう緊張感のある演出ができたわけですよね。記録をしておくことを大滝さんはすごく大切にしていたんだろうな、と思っていたんです。

萩原 今回の僕の本は基本的に大滝さんの「記録」です。本格的に創作活動に突入する前までの話が中心になっています。

渡辺 読んでいて楽しかったです。そして大滝さんの言っていることをちゃんと説明して、補填してくれるのが健太さんの言葉っていう感じがしました。厳しくも楽しくも美しい師弟関係というのがすごくよく見えたし、読み終えたときに本当に感動しました。そして大滝さんは、音楽的にすごいことをたくさんされてきた方ではあるんですが、「いろんなことを知っていて、聞けば何でも教えてくれるおしゃべりな親戚のおじさん」って感じだなって(笑)。


 

『Ring-a-Bell 30th Anniversary Deluxe Edition』
渡辺満里奈(大滝詠一プロデュースアルバム)

幸せな結末 大滝詠一ができるまで

萩原 健太

文藝春秋

2026年3月12日 発売

次のページ 写真ページはこちら