「これは元ネタなんですか?」

『NIAGARA TRIANGLE Vol.2』への愛を語る渡辺満里奈さん

萩原 大滝さんは音楽以外の情報も多いから、いろいろ大変だったでしょう?

渡辺 雑談のほうが多かったです(笑)。でも、大滝さんは音楽を系譜立てて聴くことをよく話してくださいました。今の若い人って世代とか年代とか関係なく、音楽を聴いていますよね。うちの息子もはっぴいえんどと今の音楽を縦横無尽に超フラットに聴いているんですよ。今もし大滝さんがいたら、この状況をどういう風に評するかなって思います。

萩原 満里奈さんも90年代の当時から「え、そんなの知ってるんだ?」みたいな曲を聴いてましたよね。

ADVERTISEMENT

渡辺 私が好きだったのは、流行りものとか王道の音楽ではなかった気がします(笑)。もともと私は『NIAGARA TRIANGLE Vol.2』(1982年に発売された大滝詠一、佐野元春、杉真理のアルバム)が大好きで。小学生のときにこのアルバムを聴いて、「歌謡曲じゃない、こんな音楽の世界があるんだ」と初めて知って。1曲目の「A面で恋をして」を聴いた瞬間のときめきが強烈にあって、それが「音楽が好きだな」と思う原点だったんですよね。アルバムをプロデュースしていただくとき、大滝さんにそういう話をいろいろしたら、「じゃあ佐野(元春)くんに、曲を書いてもらおうか」みたいな(笑)。

萩原 満里奈さん、コンサートでマニアックな曲をカバーしてましたもんね。

渡辺 恥ずかしい(笑)。今回の『Ring-a-Bell』にボーナストラックとしてそのライブ音源が入っているんですよ。大滝さんのファーストアルバムに入っている「それはぼくぢゃないよ」を歌ってるんですけど。

萩原 『Ring-a-Bell』では大滝さんがプロデュースしていた金延幸子さんの「あなたから遠くへ」もカバーされていて。

渡辺 当時、70年代のレコードが再発されていた時期でもあったので、大滝さんを原点に掘り起こしていくことで、面白い音楽の世界を広げてもらったなっていう感じがしますね。

90年代の自分を振り返る渡辺満里奈さん

萩原 佐野元春さんが曲を書いて、杉真理さんがコーラスで参加したということで、満里奈さんのアルバムには『NIAGARA TRIANGLE Vol.2』のメンバーが全員参加していますね。今回の30周年記念盤には、最初に出たときには入らなかった、大貫妙子さんが書いた曲も入っていて。

渡辺 そうなんです。最初にアルバムに入れてもらえなかったのは何故なのかな、歌いこなせていなかったのかな、という謎が残るんですけど(笑)。でも今回こうやって発掘していただいて、「あの、シュガー・ベイブの大貫妙子さんが!」という感激がありました。

萩原 実は僕も1曲書かせてもらっていて……。

渡辺 はい。「金曜日のウソつき」という曲を。

萩原 あのレコーディングのときのことは忘れないですよ。満里奈ちゃんがスタジオに来るなり「これは元ネタなんですか?」って。

渡辺 えー、そんなこと私言ったんですか? もう恥ずかしい!

萩原 まあ確かに元ネタあったから(笑)。

渡辺 そういう聴き方をするのがかっこいいって、そのときは思ってたんでしょうね。