「今なら番組終了」放送中に○○○○した石野卓球の狂気の背景

樋口 僕みたいに「これまで聞いてきたラジオ番組で一番好きなのは電気のオールナイトニッポン」という人は多いんですが、電気のお2人はそういうリスナーの意見に素っ気ないんですよね。『昭和50年男』(2022年7月号)のインタビューでも、聞き手の方が「人生狂わされました!」みたいなテンションで話を聞いているのに、「あんなのもうやらない」みたいな返答で。「こっちは別にマジでやってなかった」みたいに、自ら伝説を否定する話しぶりはお2人らしいなと感じます。

椎名 単純に照れくさいのかもしれないですね。

樋口 そうでしょうね。この本には電気のお二人の恋愛のことも書かれていますよね。石野さんが高校3年生のときに『人生』のメンバーだった年上の女性と付き合っていたことや、瀧さんが当時の彼女と同棲していた部屋のことまで。そのあたりは書くことに迷いはありませんでしたか?

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©橋本篤/文藝春秋

椎名 さすがに人の恋愛まで書きたくなかったですよ! だけど、石野さんの奇人っぷりに磨きがかかっていた『VITAMIN』(1993年)のリリース前のころを振り返ると、そこを書かざるを得なかったんです。当時の石野さんは凄くって、ラジオ放送中にスタジオを抜け出して、オナニーして帰ってきたんですから。

樋口 それ、リスナーとして聞いててビックリしましたよ! 今だったら番組終わりますよねぇ。おおらかな時代でした(笑)。

椎名 満面の笑みでティッシュを持って帰ってきましたからね。石野さんは絶対にそれを投げそうだから、狭いブースの中で僕らが追い詰められて(笑)。その頃の石野さんは友達の家を転々としていたんですけど、その友人宅で『新幹線』(『VITAMIN』の収録曲)を僕に聞かせてくれたんです。

 昔から石野さんは、周りの友達に「お前、これ聞いた?」と色々な音楽を聞かせてくれる人でした。それこそ『ブルー・マンデー』(ニュー・オーダーの1983年の楽曲)が出た時もそうだったし、そんな人が自分で作った音楽を「聞いてくれ」って言ってくれたら、こっちは嬉しいじゃん? そこの話を書く流れで、恋愛のことも書かざるを得なかったんですよね。