「あす死刑になってもいい。私の罪は重いです」
千佐子はこの前月7日、京都地裁の裁判員裁判で死刑判決を受け、当時は大阪高裁に控訴中だった。死刑判決を受けたことへの思いを聞くと、サバサバしたように言った。
「今さら、どうのこうの無いです。あす死刑になってもいいという気持ちです」
私が「自分の罪を重く受け止めているのですか?」と重ねて質すと、千佐子は「もちろんです」と言い、こう続けた。
「私、犬を飼っていたんです。犬の生命も大事ですけど、人の生命はそれ以上ですよね。私の罪は重いです」
独特な言い回しだが、悪いことをした自覚はあるようだ……と、この時は思った。
結婚相手が次々と死亡、4人を殺害した罪に問われた
高齢の男性を次々毒殺し、大金を手にしている60代の女が関西にいる─―。
千佐子のそんな疑惑が週刊誌報道で表面化したのは、2014年の春だった。千佐子は1994年に最初の夫を亡くして以後、3人の男性と結婚したが、全員が死亡。他にも交際した男性が次々不審死しており、「被害者」は10人を超すと伝えられた。疑惑の内容が黒川博行の小説『後妻業』に酷似していると指摘されたりもした。
殺到した報道陣の取材に対し、雄弁に疑惑を否定していた千佐子だが、同年11月19日、京都府警に殺人容疑で逮捕される。逮捕時67歳。捜査の結果、京都府の筧勇夫さん(享年75)、大阪府の本田正徳さん(同71)、兵庫県の末広利明さん(同79)、兵庫県の日置稔さん(同75)の4人を青酸化合物で殺害するなどした罪に問われ、既述したように私が初めて面会した前月、京都地裁の裁判員裁判で死刑判決を受けていた。
もっとも、千佐子は認知症のため、その公判中も無罪を主張しながら、突然、罪を認めるようなことを言い出すなどして法廷を混乱させていた。本人が何を認め、何を否定しているのかもわかりづらかった。そこで、私は単刀直入にこう質問した。
――実際、何人殺したのですか?
