ウルトラ怪獣人気ランキング上位にくい込むエレキングやシーボーズの造形もかなりインパクトの強いデザインであるが、この2体は日本にシュルレアリスムを紹介したとされる画家、福沢一郎の「牛」という作品に描かれた牛の造形を思わせる。こういうアート系のネタは、他にも探せばいくらでも出てくるが、ダダにしろエレキングにしろ、初期の怪獣デザインは成田亨の守備範囲にストックされた美術作品から多くインスパイアされているようだ。

元ネタだらけの宇宙人、大集合!

『ウルトラマン』第39話「さらばウルトラマン」(67年4月9日)で最後の敵として登場しウルトラマンに初勝利した怪獣ゼットンの名前の由来は特に有名だ。アルファベットの「Z」、あいうえおに始まる五十音の「ん」という最後の文字をくっつけて命名され、まさにラストにふさわしいあっぱれなネーミングといえる。

 ゼットンを操るゼットン星人は、前番組『ウルトラQ』第19話「2020年の挑戦」(66年5月8日)に登場した煙のように消えるという意味を持つケムール人のような頭部に体は背広というこれまたシュールな出立ちだ。ケムール人本体は『ウルトラマン』の33話「禁じられた言葉」(67年2月26日)にて、メフィラス星人がバルタン星人やザラブ星人とともに地球攻撃要員としてすでに連れて来ているので、ゼットン星人の造形は新たに作られたようだ。

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 このゼットン星人がゼットンを動かして地球侵略を計画するというパターンは、のちの『ウルトラセブン』や『ウルトラマン A』(72~73年)などに見られる宇宙人が操る怪獣(超獣)の関係性につながる。ゼットンは最後の敵にして、後番組に流用される侵略者のフォーマットを置き土産として地上から姿を消しているのだった。

 メフィラス星人の由来は、ドイツの詩人ゲーテの代表作『ファウスト』に登場する悪魔メフィストフェレスが元で、バルタン星人はご存知、フランスの女性歌手シルヴィ・バルタンからの拝借という説が巷に出回っているが、バルタン星人初登場の「侵略者を撃て」(66年7月24日)の脚本を書いた飯島敏宏の証言によると、ヨーロッパの火薬庫と言われ第二次世界大戦など領域での紛争が絶えなかったバルカン半島をもじったとされている(『ウルトラマン科特隊奮戦記 ジャイアント作戦』川崎郷太、朝日ソノラマ/1993年11月1日発行)。