日本においても、日常生活での歩行時間や、余暇の運動習慣が長い人ほど、大腸がんの発症リスクが有意に低いことが報告されている。さらに、乳がんや肝がんについても、身体活動の多い群でリスクが低下する傾向が示されている。

日本人は欧米に比べて平均BMIが低く、食生活や遺伝的背景が異なるにもかかわらず、欧米と同様の予防効果が再現されている点は注目に値する。これは運動が人種や文化を超えた「普遍的な予防因子」であることを強調している。

「週末だけの運動」でも効果はある

このように、国際的な統合解析と日本の疫学研究の両方が「運動はがん予防に有効である」という事実を示している。がんは複数の因子が重なって発症する病気であるが、そのなかでも運動は、最もシンプルかつ強力に作用する生活習慣因子の一つなのである。

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運動パターンに関しては、最近発表された約8万5000人の前向き追跡研究もある。そこでは、運動を週1~2回に集中させた人でも、毎日コンスタントに運動する人と同様に、全死亡・心血管死亡・がん死亡のリスクが有意に低下することが示された。

とりわけがん死亡については、運動をまったくしない群に比べて約15~20%の低下が認められた。平日はほとんど運動せず、週末にまとめて中高強度の運動を行うスタイルの有効性が示されたのだ。

この成果は、「毎日必ず運動しなければならない」という心理的ハードルを下げ、忙しい人でもどこかで時間を確保して運動すれば、十分に効果が得られることを裏づける。もちろん、日常的に体を動かすことが望ましいが、実生活に即した柔軟なアプローチでも、十分に「がん活」につながることが科学的に示されたのである。

「2つの運動」で予防効果が倍増

運動の効果は「どれくらいの量をするか」だけでなく、「どんな種類の運動をするか」によっても異なる。運動には、酸素を使う有酸素運動と、酸素を使わず筋肉を動かす運動がある。

有酸素運動は、心臓や肺の働きを強め、血糖や脂質の代謝を整え、炎症を抑えることが知られている。そのため、大腸がんや膵がんなどの代謝異常と関わるがんに対して強い予防効果を示す。