一方、消えた教え子の実家では、手紙に書かれていた8月4日を過ぎても娘が戻らないため、両親の不安はより強くなっていた。そして同月15日、母親が娘の部屋から大場との関係が疑われる手紙を発見する。

『汚色のイメージ』と題された21枚にも及ぶその手記の一節に〈私が死ぬか失踪すれば、相手は立教大の大場啓仁助教授だ。彼には妻と2人の子がある。授業中、ひいきにされて近づいた。結局、先生から得たものは敗北感だけだ〉という文言が記されていた。

 不倫を続けていた彼女は、煮え切らない大場の態度に苦しみ続けていた。大学の友人たちに不倫関係について陰口を叩かれ、薬物を使い命を絶とうとしたこともあった。

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 その後、関係を断ち切るため、それまで大場が務めていた修士論文の指導教員を変更し、翻訳の学校にも通う傍ら、大場への思いに区切りを付けられず、妊娠をしたと虚偽の申告をして離婚を迫ったこともあるそうだ。もちろん、大場がそれに応じることはなかった。

事件を知った妻が自殺未遂

 失踪は大場の妻の耳にも届いており、8月上旬から彼女は娘2人を連れ姉の嫁ぎ先である大阪に滞在していた。そして同月13日、大阪を訪れたKさんから、不倫相手の女性がすでに亡くなっている可能性があることを伝えられる。

 妻は激しく動揺しながらも、今後も大場とやっていくしかないと発言。ほどなく東京に戻り、またも自殺未遂を図る。精神状態は限界に近づいていた。