年度が替わり、新たな若者がプロ棋士デビューを迎える。小窪碧、川村悠人、古井丈大、3人の新四段だ。彼らが夢をつかんだ第78回三段リーグ最終戦の経緯を追う。
計8人が四段昇段をあらそう混戦に
最終18、19回戦が行われた3月14日の時点で、四段昇段を争っていたのは、
13勝3敗 (8)小窪碧、(19)古井丈大
12勝4敗 (2)川村悠人、(7)國井勝太、(9)村田楽、(14)鳥巣友希
11勝5敗 (4)永井大、(5)吉田桂悟
※括弧内はリーグ順位
以上の8人だ。
午前中に行われる18回戦で小窪―國井の大一番が組まれている。その鬼勝負を制したのは小窪だった。また、古井と、川村以外の4敗勢は皆敗れた。
この結果、14勝3敗の小窪が1戦を残して四段昇段を決め、残る1枠に可能性があるのは13勝4敗の川村と古井の2人だけとなった。川村は自身が勝てば文句なし、敗れても古井が敗戦すればやはり四段昇段となる。そして古井はすでに次点を1つ持っているので、フリークラス編入という意味では自力昇段の権利を持っている。
控室に集まったのは報道陣だけではなかった
最終戦を迎えて、記者控室には報道陣が集まっている。報道陣だけではない。斎藤明日斗六段、山本博志五段、岩村凛太朗四段といった新四段と近い世代の棋士も顔を見せていた。他にも多数の同世代棋士が、この日の将棋会館に足を運んでいた。
特に川村は26歳の年齢制限を超えて、勝ち越し延長という状況でリーグ戦を戦っていた。今期の退会はなくなっているが、ここでチャンスを逸すると来期もまたチャンスが回ってくる保証はどこにもないのである。
兄弟子の山本五段、幼いころからの棋友兼ライバルとも言える斎藤六段、それぞれが気が気ではなかったのだろう。将棋会館に来たところで何ができるわけでもない。それでも足を運ばずにはいられなかったのだ。
棋士だけではない。既に奨励会を退会した元三段も駆けつけていた。中には遠く東北から足を運んだ方もいた。かつて自身が持っていた夢を戦友に託さずにはいられなかったのだろう。
間もなく、川村勝利の一報が控室に入る。それを知った仲間たちはまず安堵して、すぐさま歓喜の笑みを浮かべていた。そして古井の次点も確定した。「2人とも上がってよかった」という声が聞こえてきた。
すでに昇段が決まっている小窪、最終局を戦う姿が控室のモニターに映っている。その内容について斎藤六段と岩村四段が論評していた。間もなく祝福の言葉をかけるからか、口も軽くなっている。「小窪、古井は昔からよく指していた仲間です」と岩村四段。




