「あの時は人生で一番きつかった」
重い難病の赤ちゃんが生まれて夫婦はどういう心境だったか? そこからいかに希望を見出したのか? 如実に示す記録が残っていた。珀久が入院して約1か月間、付き添っていた朱香の日記だ。当時の辛い気持ちを思い出すから本人は恐くて読めないというが、作品ではその一部を紹介している。
「悪夢であって欲しいと思った。長い辛い夢を見てるだけであって欲しいと」
「何も希望が持てなくなる話、これ以上、辛いこと言わないで欲しい。これ以上最悪なことは起きないで。全部夢であって欲しい」
さらに密着インタビューでも本人から赤裸々な思いを聞き出している。
「この辛さって友だちに話しても友だちだって困るじゃん。親にも言ったところで何もできないことわかってる。支えがお互いしかなかった。マジであの時は人生で一番きつかった」
隆一も追い込まれていた。
「自分と朱香を励ます言葉がマジでまったくなくて。希望が一個一個全部断たれて、最後裸になったんだよ、心が」
苦しみぬいた日々の末に生まれた「ある言葉」
そこまで追い込まれた2人を何が劇的に変えたのか? そこを聞き出しているのが、作品の一番の見どころだ。入院半ば、心が折れていた朱香に、隆一がかけてくれた言葉が決め手になったのだ。2人が苦しみぬいた日々の末に、よくぞこの局面でこの言葉を生み出せたと感嘆する。朱香も語る。
「めっちゃそれが一番励みになったね」
隆一自身も自分の言葉に救われたという。2人に魔法をかけてくれたその言葉を、ぜひ映画で確かめてほしい。
そして迎えた2人の結婚式。3年前に打ち合わせをしたがコロナ禍で延期されていた。珀久もおめかしして参列。チューブを止めるほっぺたのテープも特別仕様だ。よく見ると「PAPA♡MAMA HAPPY WEDDING」と書かれている。隆一はあいさつで述べた。
「3年の中で色々ありまして……、すべて本当に乗り越えました。2人で闘って支え合って、何のことはない(拍手歓声)」


