「指名手配の男とソックリ」

 26歳のその男性は、先輩「山田正五」の顔を見て驚愕した。交番の掲示板に貼ってあった誘拐殺人犯の指名手配写真に顔が酷似しているのだ。そのとき、本山は人相を隠すため坊主頭にしていたのだが、髪を伸ばせば手配写真と瓜二つだった。

 26歳男性はその日のうちに交番に出向き情報を提供。すぐに警察は動かなかったが、17日、仮病を使い仕事を休んだ男性は、相部屋だった山田の風呂敷包みを密かに開け、中に入っていた黒表紙の手帳を読んで戦慄する。自分の知り合いが犯人という体で、雅樹ちゃん誘拐殺害事件の詳細が具体的に記されていたのだ。

 その事実を知らされた大阪府警城東署の捜査員が17日夕方、本山のもとを訪れ「聞きたいことがあるが、来るか?」と任意同行を求める。本山がこれに素直に応じたため緊急逮捕し、翌18日に急行「西海」で東京へ護送する。列車には多数の新聞記者も乗り込み質問攻めにしたが、本山は曖昧な答えしか返さなかった。

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 21日、警視庁での取り調べで手帳の内容は嘘で、自分の犯行であることを自供。営利誘拐・恐喝未遂罪・殺人罪・死体遺棄罪で起訴された本山に対して、1961年3月31日、東京地裁は死刑を宣告する。

 判決を不服として控訴した本山はその後、自分の大便を食すなど精神異常を装い減刑を画策するも、1966年8月26日に東京高裁は控訴を棄却。最高裁も上告を退けたため、死刑が正式に確定した(1967年5月25日)。