「そばを食べる」。それだけで感動することがある。しかも味だけではない。店の歴史、立地、店主の想い、努力、お客さんの笑顔などを含めてである。そんな感動をくれるぽつんと一軒そば屋が印西市木下(きおろし)駅から少し歩いた所にある。しかも働き手が確保しにくい過疎化地域でうまくビジネスを推し進めているモデルケースのような輝きをも放つそば屋だ。
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かつて製麺業を生業にしていたことがあるボーカリストの友人から「千葉県印西市にあるぽつんと一軒そば屋がすごい。是非行きましょう」と誘われていた。半年経ってようやく行く機会を得た。
JR常磐線我孫子駅で待ち合わせ、木下(きおろし)駅へ
2026年4月28日、爽やかな風の吹く昼下がり。上野からJR常磐線我孫子駅に到着した。
成田駅と我孫子駅を結ぶ成田線(我孫子支線)に乗り換えるのに都合がいい。それで友人と我孫子駅で待ち合わせることにした。相変わらず駅そばの「弥生軒」は盛況である。つゆの香りの誘惑に負けそうだ。ここはぐっとこらえ友人を待つ。合流後、成田線(我孫子支線)に乗り込んだ。支線は単線になり、のどかな新緑の景色が広がっていく。
電車進行方向右手は手賀沼、左手には利根川が並行する。
5駅先の木下駅に降り立つ。駅舎は意外と立派である。
駅舎上から北に利根川の堤防がみえる。
駅前ロータリーは閑散としていてせんべい屋ののれんだけが揺れている。
ここ木下は江戸時代までは高瀬船が往来し、河岸場があり江戸と銚子を結ぶ交通の要衝だったという。鮮魚や醤油を輸送していたわけである。江戸のそば文化開花に寄与していた場所でもあるわけだ。
明治以降、主な輸送手段が水運から陸運へと変わり、戦争や戦後復興を経て次第に静かなエリアになっていった。
渋い古めかしい街並みを20分ほど歩くと行列が
ロータリーから駅前道路を西方向へ歩いて行く。渋い古めかしい街並みが続く。時計カメラ店の看板、国登録有形文化財「武蔵屋」などが並ぶ。
自分たち以外は誰も歩いていない。しばらく進むと交差点があり、そこを利根水郷ライン方向に進んでいく。20分ほど歩いただろうか。SUZUKIの看板の先に、何やら外で数名が待機している店が現れた。
そこが目的の「そば処さつき」であった。
午後1時を過ぎていたが、なかなか盛況のようだ。明るいべージュ系の外観に白い看板がよく映えている。入口で名前・人数を書き、メニューをみながら入店を待つシステムだ。








