――ではお父様がはじめに状況を把握されて。
山川 そうですね。最初に私を見た父は、「顎がちっちゃくておさるさんみたいやな」と思ったそうですけど、赤ちゃんってそんなもんだよね、くらいに受け止めていたら、「トリーチャー・コリンズ症候群です」と診断を受け、そこではじめてこの病気の名前を聞いて。
続けて、「上顎が裂けているからミルクが飲めない」「耳が聞こえないかも」「呼吸も難しい可能性が」と、次から次へと悪いことばかり先生に聞かされて、その場に倒れそうになったそうです。
――急に事態が一変して。
山川 付き添ってくれてた父の兄が、「うちの家や田畑を全部売ってでも助けたるからな」と励ましてくれたことで、父もだいぶ気持ちが和らいだと言っていました。
上顎が裂けて口からミルクが飲めず…
――トリーチャー・コリンズ症候群の中でも症状の出方にはグラデーションがあるかと思いますが、山川さんの場合はどうだったのでしょうか。
山川 自分では自覚してなかったんですけど、大人になってから主治医に「あなたは重度ですよ」というのを聞いて、「あ、重度だったんだ」って初めて知りました。
頬骨も未発達で成長しにくかったですし、生まれた当初は耳の上の部分と耳の穴もない「小耳症」でした。退院した私の母子手帳には「顔面奇形」と記入されていたそうです。
あと、先ほどもお伝えしたように口蓋裂もあったので、口の中の手術をして上顎の裂け目を閉じました。声がちょっと聞き取りにくいかと思うんですけど、こもっている声になるのも口蓋裂の特徴です。
――首から上の症状が多いということですが、首から下については健康体ではあった?
山川 そうですね。ただ、私の場合顎が小さくて気道が狭いというのもあって肺活量が少ないせいか、疲れやすい、体力がないというのは感じています。
――食も細い方ですか。
山川 いや、意外と食べます(笑)。
――お聞きしていると、まずは命をつなぐような子育てだったというところですか。
山川 上顎を閉じる手術をするまでは口からミルクも飲めなかったので、鼻からカテーテルを通して飲んでいましたし、いつ呼吸が止まるか分からない状況ということで、ちゃんと息をしているか、両親は常に気をつけて見ていたそうです。

