約5万人にひとりの割合で発症する先天性の疾患「トリーチャー・コリンズ症候群」の当事者として発信をする山川記代香さん。トリーチャーコリンズ症候群は、頬や顎の骨、耳などが形成されないことから、見た目に加え、呼吸や聴力の問題、口蓋裂といったさまざまな困難が生じるという。

 生まれた直後からはじまったという数々の治療と、“視線の凶器”との戦いについて、山川さんに聞いた。

山川記代香さん

 

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見た目に大きな変化があった2つの手術

――今日は愛知からお越しいただきありがとうございます。これまで周囲から“視線の凶器”を感じてきたということですが、田舎と都会とか、場所や年代とかで視線の違いは感じますか。

山川記代香さん(以下、山川) 今日はここまで来るのに必死であんまり気にしてなかったのが正直なところなんですけど(笑)、東京は、それこそ時代の変化だと思うんですけど、携帯を見ている人が多いので、視線を感じることは少なかったです。そもそも人の数が圧倒的に違うので、紛れられるというのもあるかと。

 そういう意味では、田舎の方が見てくる人は多いかもしれないですが、今はずっとマスクをしているのでだいぶマシです。

――視線からの防御という意味でマスクを常にしている?

山川 そうですね。ただマスクをしていれば見られないというわけでもなくて。私は頬骨がなくてマスクが顔に密着していない違和感があるのか、ちょっと不思議だな、みたいな感じで見られることはあります。

 小さい頃にお尻の脂肪を取って頬骨の部分に入れる手術もしたんですけど、すぐに脂肪が溶けちゃったんです。

――これまで17回手術を受けてこられたということですが、生活がしやすくなったとか、見た目に大きな変化があった手術はどんなものですか。

山川 2つあるんですけど、大きかったのは耳を作ったことです。それまでは耳がなかったので、マスクを耳にかけることができなかったんですね。

 小学校では給食の配膳係の時にマスクが必要だったんですけど、耳にかけられない自分はマスクの紐の両端を結んで頭からかぶって付けるしかなくて、それがすごく嫌だったんです。

小学生時代の山川さん

 それで小3から中1にかけて片耳4回、合計8回の手術をしてようやく耳ができて。マスクが耳にかけられるようになったのも嬉しかったですけど、髪の毛をかけるしぐさができるようになったのもすごく嬉しかった記憶があります。