高市さんが私のところに来たのは、心臓外科医で現在は昭和医科大横浜市北部病院循環器センター特任教授を務める南淵(なぶち)明宏先生の薦めを受けてのことでした。南淵先生は、高市さんの地元である奈良県立医科大出身。奥さまの南淵芳(かおる)先生も産婦人科医で、以前私のクリニックで働いていたこともありました。それで、高市さんの不調について「これは婦人科系ではないか」と思われたのでしょう。
人には思春期も更年期も
診察室で高市さんの心身の不安をじっくり聞いてみると、更年期によるホルモンバランスの乱れが不調に関係しているように思えました。一方で、これまで女性ホルモンの検査や治療はしていないといいます。そこで私はこう尋ねました。
「高市さん、更年期ってご存じですか?」
高市さんは「えっ、更年期ですか?」と聞き返してきました。
「もちろん更年期という言葉は聞いたことがあるけれど、私って更年期なの?」
そう言って、心から驚いた様子でした。
無理もありません。その頃の高市さんは40代。それに当時、「更年期」という言葉は、「更年期のヒステリー」などと女性を揶揄する時に使われることが多かった。正しい知識をもっている人は、ごくわずかでした。
そこで私は、「ホルモン補充など、更年期の治療をしてみる価値はあると思いますよ」と提案し、さらにこう伝えました。
「人には思春期があるように、更年期もあるんです。とくに女性は、50歳前後でホルモンバランスが変化するので、いろんな症状が出やすい。だから、健康面を見直したり、お仕事に差し支えがないように治療をするのはすごく大事なことです。治療をやってみましょう。『政治家を辞める』なんて思わないで、ぜひ続けてください」
※この続きでは、更年期の女性たちが仕事を辞めている実態が語られています。約6000字の全文は、月刊文藝春秋のウェブメディア「文藝春秋PLUS」と「文藝春秋」2026年6月号に掲載されています(対馬ルリ子氏「『私が更年期?』高市さんは言った」)。
