入り口の看板に刻まれた「GIRLS」の5文字を目にした瞬間の戸惑いと絶望感
ガルはアルファベットで「Ngaru」と表記する。カタカナ表記の「ガル」をそのままアルファベットでタイプすると「garu」だが、その頭にNの接頭辞をつけるのがケニアの国語であるスワヒリ語が属するバントゥ語族系の言語の特徴だ。地名や人名の前に接頭辞がつくのが一般的で、その中でも鼻音である「N-」や「Ng-」がよく使われる。
実際、ケニアの地名はNから始まるものが多い。フラミンゴが多く生息する湖で有名なナクル(Nakuru)、ナイロビ郊外の住宅街であるンゴング(Ngong)、あるいは首都のナイロビ(Nairobi)も同じ仕組みだ。接頭辞のNは、次に続くアルファベットによって発音したりしなかったりする。Ngaruの場合は、Nを発音せずに「ガル」と読む。
なるほど、やはり言語の世界は奥深いなと感心しながら、「Ngaru High School」とグーグルの検索窓に打ち込んでみる。すると早速、グーグルマップ上で1件ヒットした。所在地はケニアになっている。どうやらこれが、あのガル高である可能性は高そうだ。
ナイロビから北に約120キロ、車で2時間半のケルゴヤという地域の周辺が表示された。意外にもあっさりと見つかりそうだなと、この時は胸を撫で下ろしていた。
そうして実際にケニアを訪れて辿り着いたのが、本章の冒頭で描いた現実だった。入り口の看板に刻まれた「GIRLS」の5文字を目にした瞬間の戸惑いと絶望感は、今でも鮮明に覚えている。
手掛かりを探すために、学校の中へ…
女子校のはずがない。私が知っているガル高の出身ランナーは、男子たちだ。グーグルマップでは1件しかヒットしなかったが、もしかすると他にもガル高があるのだろうか。訪問先を間違えたのかもしれない。何か手掛かりを探すために、学校の中に入ってみることにした。



