「生まれもった自分の身一つで表現する踊り子の姿に、その人の生きざまや誇りを感じるという声は多い。消費の対象ではなく、共感をもって見る人が増えている」(同)
人気の踊り子とベテランの格差
ストリップという表現形式の特徴について、武藤さんは「踊り子が観客との双方向的な関係の中で踊ることで、独特の相互作用が生まれる。等身大の人間同士が、何も取り繕いようのない状態で向き合い、その中で踊りが成立している」と話す。
そうした状況の中で、踊りを見た観客が激しく感情を揺さぶられることも少なくない。武藤さんも、踊り子が踊る姿を見て、涙が止まらなくなった経験があるという。こうした「強烈な感動」は男女問わず多くの観客に起きており、それがリピーターを生む大きな要因だと武藤さんは分析する。
だが、冒頭で見た活況は、業界のすべてを映しているわけではない。相田さんの見立ては厳しい。
「業界が盛り上がっているというのは、ごく限られた話だと思います。アイドル的な踊り子を乗せている、都内の一部の劇場などの話ではないでしょうか」
ここで、写真の存在が再び浮上する。冒頭で記した「長蛇の列」は、実は業界の構造的な問題と表裏一体だ。
写真の売り上げは全額劇場の収入となりることから、1枚500円の写真が1日で100枚売れるアイドル的な若い踊り子は劇場にとって「稼ぎ頭」であり、次の出演依頼が舞い込む。逆に写真が売れなければ、いくら踊りが優れていても仕事は減る。
熱量と金銭が一致しない皮肉
SNSで大量のフォロワーを持ち、写真の列に客を並ばせることのできる踊り子と、そうでない踊り子との間に、埋めようのない格差が生じている。つまり、冒頭の「盛り上がり」は、業界全体の活況ではなく、ごく一部の人気踊り子に客が集中しているという現象でもある。
さらに、ベテランにとっては支持基盤そのものが揺らいでいる。チップや衣装の協賛で長年支えてきた男性の常連客たちが、高齢化によって次々と劇場に来られなくなっている。舞台で客から手渡されるチップは、写真と違って踊り子の収入となる。