「長く交流のある70代のお客さんから、末期がんで手の施しようがないと診断されたから、もうステージは見られないかもしれない、ごめんね、と連絡が来ました。そういう人たちがどんどん増えています」

相田さんは、寂しそうにそう話した。

若い女性客の増加は事実だが、相田さんはこう見ている。「女性のお客さんは発信力がある。でも、男性の常連客のように金銭的な支援を続けてくれるかというと、それはまた違う話です」。

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女性客は演目の芸術性を評価しSNSで発信するが、チップを包んだり衣装代を協賛したりという形での支援は限られる。新しいファン層の「熱量」と、業界を経済的に支える力は、必ずしも一致しないのだ。

年金支給日になるとお客さんが増える

相田さんは、インタビューの最後にこんな言葉を口にした。

「静かに消えていっていいんですよ。こういう美しいところがあったな、よかったな、気づいたらなくなってしまったなと、失われた日本の記憶の1ページになってもいいと思うんです」。そして、すぐに「もちろん、そうなったら寂しいですよ」と続け、複雑な心境をのぞかせた。

ストリップ劇場は、相田さんにとって単なる職場ではない。借金に追い詰められた人、心の病を抱えた人、「人生最後の日だと思って来た」と告げた人。そうした人々が劇場の暗がりに迷い込んでくる。

「年金支給日になるとお客さんが増えるんです。お年寄りたちがお金を握りしめて会いに来てくれる。家では一人でいても、劇場に行けば踊り子が話しかけてくれるでしょう。そういう居場所として、劇場は長年守られてきたんです」

救いを求めてやってきた人が「また来るよ」と帰っていく。舞台は、その人たちにとっての灯りになれる。それが、これまで続けてきた大きな理由だと相田さんは言う。

ストリップ劇場に漂う「わびさび」

ストリップ劇場に漂う特有の空気を、相田さんは「わびさび」と表現した。

「踊り子がありのままを表現し、観客がそれを受け止める。そうした場所がなくなっていくのは、日本にある文化の一つが消えるような気になります」