冒頭の劇場に話を戻そう。満員の客席、写真撮影に並ぶ長い列、SNSに投稿される熱い感想。その熱気は紛れもなく本物だ。だが、その灯りが照らしているのは、業界全体のごく一角にすぎない。

残り15軒の灯りがあとどれほど続くのかは、だれにもわからない。だが確かなのは、その灯りの下で、今もだれかの人生の一コマが静かに刻まれているということだ。

佐藤 大介(さとう・だいすけ)
共同通信社 編集委員兼論説委員
1972年、北海道生まれ。明治学院大学法学部卒業後、毎日新聞社を経て2002年に共同通信社に入社。韓国・延世大学に1年間の社命留学後、09年3月から11年末までソウル特派員。帰国後、特別報道室や経済部(経済産業省担当)などを経て、16年9月から20年5月までニューデリー特派員。21年5月より現職。著書に『13億人のトイレ 下から見た経済大国インド』(角川新書)、『オーディション社会 韓国』(新潮新書)、『ルポ死刑』『韓国・国家情報院』(ともに幻冬舎新書)などがある。
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