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夢や目標はなくてもいいじゃん
のちに知り合いのお坊様にその話をしたところ、仏教の世界でも「今を生きる」というのは大事なことだと教えてくださいました。
人間にとって記憶は大切なもの。過去の思い出や将来の目標を支えとして生きることこそ、人間である証なのかもしれません。でも、その記憶の力が薄らいだとしても、人間でなくなるわけではありません。
今、この瞬間を、「楽しいなあ」「嬉しいなあ」「いい気持だなあ」と思って夜、眠りにつくことができれば、もし朝になって前日のことをすっかり忘れていたとしても、それでもじゅうぶんに生きる価値はあるのだと思い知りました。
偉そうなことを言って、すみません。別に私は悟りを開いたわけではありません。思えば昔から、そういう考え方をする傾向があったように思います。
「将来の夢はなんですか? 人生の目標はなんですか?」
ときどきそう聞かれることがあります。そのたびに、「別にないなあ」と心の中で思いつつ、「ない!」と答えるとがっかりされるのではないかと無理やりひねり出したこともあります。でも、歳を重ねて最近は、はっきり申し上げます。
「夢? 目標? ないです。とりあえず明後日の原稿の締め切りのことで頭がいっぱいだし、あと明日の対談の準備であたふたしています」