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古き港町をゆくローカル線
最末期、下津井電鉄は瀬戸大橋開通に伴う観光に一縷の望みを掛けた。いつもは1両編成の列車が行ったり来たりするだけだったところに、3両編成の観光列車「メリーベル号」を投入したのもそのひとつ。
ただ、本四連絡の橋が目玉なのだから、橋を渡らずに手前で降りてローカル線へ、などという観光客は少なかったようだ。
なにしろ当時はバブルの最中。華々しく開通した新しい橋は魅力的にみえても、古びたローカル線の旅情を感じて、などという時代ではなかったのだ。
さらに、下津井電鉄は岡山・茶屋町と児島を結ぶ路線バスという“ドル箱”を失ったことで、赤字のローカル線を支える余力はもはやなくなった。
かくして1990年末を最後に、古き港町をゆくローカル線は地図から消えたのである。下津井から対岸の丸亀を結んでいた航路も、いまはもう存在しない。
撮影=鼠入昌史
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