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連載クローズアップ

「消えたほうがいい」という人へのアドバイス

 根本さんは型破りな僧侶だ。仏門に入ったのは僧侶募集の新聞広告を見て。クラブにも行くし、マイクを持てばロックをシャウトする。

「歌は上手くないんですよ。お経は音程がなかったからよかったんです(笑)」

 24歳のときバイクの事故で生死をさまよった。

「築地市場で働きながら学校に通っていたんですが、明け方、一時停止を無視したベンツに突っ込まれました」

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 相手は夜遊びして朝帰り中の同い年の女性だった。極真空手の関東大会を目指していた根本さんは半年入院、その後もリハビリに1年かかり、膝は90度以上曲がらなくなってしまった。絶望の淵にいたとき、1人の看護実習生に出会う。それが今の妻だ。

「消えたほうがいいんです」と呟く人には「死んでる場合じゃねえぞ」と発破をかける。相談者は中学生から82歳まで。相談を受けていると、たくさん泣いた後に自殺志願者が可笑しくなって笑い出す瞬間があるという。

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「過去や未来に執着しているから苦しみがあるけれど、実は過去も未来もなくて、常に“今この瞬間”しかない。それに気づくと笑えるんですよ」

ねもといってつ/1972年生まれ。臨済宗妙心寺派大禅寺住職。「いのちに向き合う宗教家の会」代表。98年に出家し、04年より自死防止活動を開始。07年からは毎年、国内や海外の国際会議で「世界仏教徒会議」日本代表発表者として登壇。11年には第35回正力松太郎賞青年奨励賞を受賞。

INFORMATION

「いのちの深呼吸」
9月8日よりポレポレ東中野にて公開

 

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