働き方改革なら、くまのプーさんに聞け?
一見、冗談のようだが、『プーと大人になった僕』が伝えることは、実はそこから決して遠くない。アニメ版で7歳の少年だったクリストファー・ロビンは、この実写映画で、40代のモーレツ社員になっている。時代は1949年。週末は田舎で過ごす約束をしていたのに、仕事が忙しく、「君たちだけで行ってきて」と言っては妻子をがっかりさせるなど、パパとしてはまるで失格だ。だが、彼を演じるユアン・マクレガーは、いかにも戦後の男であるクリストファーに同情を寄せる。
「あの時代の男たちは、子供とたっぷり時間を過ごすことなんて、期待されていなかった。正直、そんなことを考えもしなかったものさ。だけどクリストファーは、そのために行動をし、実際に変化を起こすんだ。それが、この映画の美しいところ」
そのきっかけをくれるのが、くまのプーさんだ。少年だったクリストファーは、プーさんや動物たちと森の中で遊んだものだが、全寮制学校に入学して実家を離れてからは、一度も会っていない。なのに、ある日突然、プーさんがクリストファーを訪ねてロンドンにやってくる。