医学的にも「2週間」はポイント
多くの場合、眠れない日があったとしても、それが数日続くと眠れます。仮に平日は十分に眠れなくても、翌日に仕事のない金曜や土曜の夜は眠れるもので、2週間連続で眠れないということは、あまり起こりません。
しかし、ペンシルバニア大学の研究では、4時間睡眠を14日間続けると、2晩の徹夜明けと同じレベルまで脳機能が低下することが実験で示されています(Van Dongen et al., 2003)。
睡眠不足が、“2週間”続くと危ないということには、どれくらい信憑性があるのでしょうか。
「DSM-5(精神疾患の診断統計マニュアル第5版)」においては、2週間の睡眠の記録が、不眠障害の診断確認のために推奨されています。つまり、この2週間という期間は睡眠障害の観察・判断期間として臨床的に認められた期間なのです。
また、うつ病(医学的には「大うつ病性障害」)の診断は、9つの症状のうち、「5つ以上の症状が2週間以上続くこと」を必須要件としており、睡眠障害はその9症状の一つに含まれています。つまり医学的には睡眠の問題が2週間続けばうつ病の診断要件の一つを満たすこととなり、私の“2週間続いたら危ない”という経験による感覚は、理に適ったものだと言えます。
高血圧のリスクが5倍以上になる
たとえ“4時間も眠れない日が2週間連続”でなくても、睡眠不足は様々なネガティブな影響を心身に与えることが、昔からわかっています。
・パフォーマンス低下 (Van Dongen et al., 2003)
・反応速度低下により、自動車事故リスク増加 [Dawson D & Reid K. (1997)、Connor J, et al. (2002)]
・うつ病、不安神経症の発症 (Ford DE & Kamerow DB. 1989)
・慢性疾患罹患リスク増加(体への悪影響)
・肥満、免疫力低下、高血圧、心臓病、糖尿病など (Vgontzas AN, 2009等)
・睡眠障害で高血圧のリスクは5倍以上 (Vgontzas AN, 2009)
・睡眠障害を有する男性において虚血性脳卒中のリスク、日中の眠気を有する男性において虚血性心臓病の発症のリスクが増加 (Elwood et al. 2006)
・睡眠障害の自殺危険について、最新の研究では、不眠症や睡眠障害がある人は、ない人に比べて自殺念慮や自殺未遂のリスクが、およそ1.5~3倍になることが分かっている