モデル、タレントとして華やかなキャリアを築く一方で、恋愛や結婚、離婚、シングルマザーとしての子育て、そして乳がんとの闘いまで、その人生を包み隠さず語ってきた梅宮アンナ。なぜ彼女は、数々の苦難や世間の批判にさらされながらも、自分らしく生き続けることができたのか。そして、梅宮アンナがたどり着いた人生観とは何だったのか。

 梅宮アンナが自身の半生を赤裸々につづった著書『フルコース』(文藝春秋)から、父・辰夫さんとのエピソードを抜粋してお届けする。

 

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メイク室で桃井かおりさんと

 役者という仕事柄、撮影所に連れてってもらったこともある。

 パパが主演を務めていた『帝王シリーズ』の第5作『ポルノの帝王 失神トルコ風呂』だったか、その次の作品だったか忘れちゃったけど、1970年代初めのころだから、私はまだ赤ん坊だった。

 パパは衣装合わせに、バブバブ言っている私を負ぶって参加したのだ。

 女をたらしこむ「すけこまし」の役なのに、現場では泣き叫ぶ私をあやしたり、甲斐甲斐しくオムツを替えたりしてたとか。

 それを見て監督が血相変えて叫んだ。

「ない、ない、ない。もうこの話はなし! すけこましがオムツなんて替えてんじゃねえよ」

 あまりにイメージと違うと。それで、撮影も立ち消えになったらしい。

 1975年から放送された『前略おふくろ様』の撮影現場にも、パパは幼稚園児だった私を連れて行ってくれた。

 倉本聰さん原案の名作だ。主演は“ショーケン”こと萩原健一さん。ほかにも川谷拓三さんや桃井かおりさん、八千草薫さんなど共演者も豪華だった。

 パパは熟練の渋い板前役で、これまでのヤクザやアウトローの役からのイメージチェンジが世間で話題になった。