「ダンスのラインが美しい」

 リクのパフォーマンスを語る上で、興味深く感じるポイントがある。激しいアップダウンや、目まぐるしいフォーメーション移動があっても、リクのダンスは上半身の軸がブレない。動作の一つひとつが、正確な点を打つかのようにピタッと決まり、無駄な力みが排除されているように見える。

 実際「ダンスのラインが非常に美しい」と評価されているが、それは、学生時代に打ち込んでいたバレーボールの経験とも結びついているのではないだろうか。

身長は175cm(NCT WISHのXより)

 チームの司令塔である「セッター」を務めていたというリク。周囲のバレーボール経験者に聞いてみたところ、セッターというポジションは、アタッカーが最も打ちやすい場所へ、正確にボールを上げる必要がある。そのためには、強靭な体幹が必要不可欠だそうだ。さらに、セッターは「司令塔」。コート全体を常に俯瞰しながら、味方や相手の動きを瞬時に把握しようとする「視野の広さ」も求められる。

 これはNCTWISHのパフォーマンスにおいても、ステージ上で他のメンバーとの間合いを測り、フォーメーションを構築する際にも通じているのではないだろうか。ダンスの美しさも含め、学生時代のスポーツ経験が少なからず影響しているように感じる。

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NCT WISHのYouTubeチャンネルより

 良くも悪くも「学生生活を犠牲にした練習生活」がK-POPデビューへの王道ルートとなり、練習生の若年化が進む中で、リクのようなケースが増えても面白いのではないかと筆者は考える。夢や目標とは直接結びつかなそうな経験こそ、後になって生きてくることが多いからだ。

BoAも絶賛した「新しいラップスタイル」

 リクの音楽性についても触れておきたい。オーディション番組『NCT Universe : LASTART』で、清水翔太の「Fire」を披露した際、審査員たちはリクが放つ独自のラップを聴き、一斉に驚きの表情を見せた。後に初代プロデューサーを務めた歌手のBoAは「これまでのSMエンタテインメントにはなかった、新しいラップのトーンだ」と賛辞を贈っている。

事務所の先輩でもあるBoA(現在は独立)と(BoAのYouTubeチャンネルより)

 ただリズムに合わせるだけでなく、楽曲の持つグルーヴを的確に捉える音楽的センスは、事務所のディレクター陣に「即戦力」として認められるに十分なものだった。それこそが、彼がオーディション番組1位でデビューを勝ち取った理由のひとつだろう。

 2026年4月リリースの1stフルアルバム『Ode to Love』は、韓国の初動売上で182万枚を突破し、3作連続のミリオンセラーを達成。さらに日本でもビルボード・ジャパンの週間アルバム・セールス・チャートで首位を獲得した。2023年以降にデビューした「第5世代K-POPグループ」の中で、NCT WISH名実ともにトップランナーとしての地位を築きつつある。