嫉妬した彼女が包丁を握って⋯

 男女問題は移ろいやすい。それからしばらくして2人の蜜月関係に暗雲が垂れ込める。大迫さんは相手を気遣うことができず、感情を抑えることが苦手なため、頻繁に喧嘩するようになった。

 ある日、須磨さんがデイケアで別の女性利用者と親しげに話していたのを目撃した大迫さんはついに激昂。包丁を持ち出して大暴れしたことから警察が臨場し、彼女のみ再入院となった。

 “わが恋は虹にもまして美しき いなづまとこそ似むと願ひぬ”

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 大迫さんの稲妻のように激しい恋はこうして唐突に終わりを告げたのである。

病院に現れた急患の20代女性

 そろそろ昼食でも、と考えていた午の刻、急患として来院したのは君島さくらさんである。

 20代の君島さんは食品会社に営業として勤務する会社員。

 異変に気づいたのは同居する両親だった。もともと話好きな性格であったが、帰宅すると急にスイッチが入ったように話し出し、止まらない。ハイテンションでしゃべり続け、会話中に急に歌を歌い出したり、かと思えばテレビを見て泣き出したりと情動が不安定になっていた。

 同時に週2回も美容院に行き、頻繁に髪型や髪色を変えた。節約家だったはずが、仕事帰りに何着も服を買ってきたり、10万円を超えるバッグを購入するなどの浪費行動が出た。

 寝ずに夜中に大量のLINEを送り、返信が来ないと電話をかけ、寝ている彼氏を叩き起こす。彼氏に電話を切られると怒ってスマホを壁に投げつけた。

写真はイメージ ©getty

 一連の娘の行動を見て、父親は彼女の大学時代を思い出した。大学在学中にも同じような行動をして病院を受診し、双極性障害と診断され、近くの精神科に通院していた。

 ところが、ここ数年病状も安定し、社会人となり業務が多忙となったこともあって、彼女は独自の判断で2カ月前から通院をやめ、薬も飲んでいなかった。