佐藤は麻衣に呼び出され、言われるがままに三輪さんの自宅の住所をカーナビに入れた。目的地に着いたが、踏ん切りがつかず、周囲をグルグル回っていると、「早く覚悟を決めてよ」「どうせできないんでしょ」などと麻衣に急かされた。
麻衣が「電話で呼び出して外出させよう」と提案し、入院中と聞いていた三輪さんの父親の容体が急変したことにして、佐藤が病院関係者を装って電話をかけた。
「三輪芳秀さんの携帯でしょうか? お父さんの容体が急変しましたので、すぐ来てください」
「お前は誰だ?」
「○○病院の者ですが……」
「親父なら去年死んだわ」
佐藤は慌てて電話を切った。結局、この日は金を奪えなかった。麻衣は借金相手に期日の延長を交渉していた。
「このままだと殺されちゃうよ」
事件当日、再び三輪さん宅に向かったところ、三輪さんの車がなかった。2人はベランダのガラスを割り、中へ入った。麻衣は一直線に事務室に向かい、「あった、これだこれだ、たぶんこれ変わってないわ」と言いつつ、事務机に置かれた暗証番号のメモを佐藤にスマホで撮影させた。
その途中で三輪さんが車で戻ってきた。2人はクローゼットの中に隠れ、息を潜めていたが、「このままでは埒が明かない」と外に出ることにした。
三輪さんは佐藤を見てギョッとしたが、麻衣の姿を見てもっと驚いた。
「お前、何でここにいるんだ。何しに入ってきた。2400万円も取りやがって!」
三輪さんは麻衣につかみかかり、髪の毛を引っ張ったので、佐藤が割って入った。
「お前は何なんだ。麻衣の用心棒か?」
「関係ない。話す必要はない」
すると三輪さんがまた麻衣につかみかかろうとしたので、佐藤が金づちで背中を殴った。さらに麻衣がノコギリを取り出し、「このままだと殺されちゃうよ」と脅した。
