とりあえず数日休んで、症状が上向いたら、薬を飲みながら出勤しよう。私はそう考えて、その日から抗うつ薬を飲み始めた。医師の説明によると、一般的に抗うつ薬は効果が出るのに2~3週間はかかるという。
朝、かつてなら胃をキリキリとさせて飛び起きていた時間にただ天井のシミを見つめる。カーテンの隙間から漏れる陽光が埃をキラキラと反射させる。苦しめられた下痢の症状は治まったが、重苦しさが全身を包み込む。
休職診断書を郵送したあと、毎朝、松村統括官に休暇の連絡を入れた。
「すみません。今日も体調が悪いので、一日休暇をお願いします」
「わかりました。お大事に」
これを毎日行なう。電話をかけるたび、気持ちが沈んでいく。私も嫌だったが、松村統括官も辟易としていたのだろう。
2週間がすぎても出勤できる気がしない
2週間がすぎても、薬の効果は実感できなかった。出勤できる気がしない。
できることなら仕事をやめたい。仕事をやめたら生活していけない。仕事に行くのがつらい。仕事はやめられない……。考えが堂々めぐりする。松村統括官のほうから「この際、まとめて休職したほうがいいのでは」と提案してくれた。
妻とともに再び病院を訪れ、仕事に出られないことと松村統括官からの提案を報告した。医師は再度、「うつ病のため、1カ月の休養が必要」という診断書を書いてくれた。その診断書を提出し、まずは1カ月の休職となった。
ところが、事態は好転しなかった。