高校駅伝全国優勝を目指す女子高生たちの青春を描き、松本清張賞を受賞した『ひなたの中継点』刊行を記念して、これがデビュー作となる森山世衣さんと清張賞の先輩・額賀澪さんの対談が実現!
後編では、額賀さんが森山さんへ作家サバイバル術を伝授します。
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ジャンルに縛られない松本清張賞
額賀 今後のビジョンについてもお聞きしたいです。これから始まる作家生活で、どんなことをしたいと考えていますか。
森山 スポーツ小説はまた書きたいと思っているのですが、額賀さんが周縁の物語を見事にキャッチして書かれているのを見ると、自分にはここまでできるだろうかと考えてしまいました。
額賀 その気持ちはわかります。でも、プロデビューすると取材の選択肢もすごく増えますよ。私もいち視聴者として箱根駅伝を見ていたときとは、まったく違う角度の情報が手に入るようになりましたし、そこから新たな題材が見つかることもある。一方で、せっかく広義のエンタメを対象とした松本清張賞でデビューしたのですから、特定のジャンルにこだわらなくていいのではないか、とも思います。
森山 そうですよね。せっかくなら、色々なジャンルを書いてみたいという気持ちはすごくあります。
額賀 絶対にそのほうがいいと思います。ひとつのジャンルを背負うのも、熱心なファンが付いてくれるという強みはありますが、松本清張賞なら、スポーツを書いて、次がお仕事小説で、その次がミステリというキャリアが許される。最近、作家仲間とよく話すんですが、渾身のフルスイングだと思った作品がホームランになるとは限らない。むしろ、もうだめだと思いながら膝をついて打ったような作品がホームランになったりする。こちらの頑張りや熱量だけではどうにもならない部分もある仕事なので、手広くやるしかないよね、と。だから色々なものを書いたほうがいいと思います。何が化けるか分かりませんから。
