額賀 これから森山さんのところには、文芸誌から短編の依頼がたくさん来ると思います。それを言われるがままにバラバラのテーマで書いていると、1冊の本にまとめられないんです。

森山 あー、なるほど!

額賀 いまのご時世、主人公や舞台、テーマが共通していないと1冊の短編集にするのは難しいんですよね。書きっぱなしで眠っている短編が何本もできてしまうのは、新人作家あるあるです。だから、連作短編としてまとまる前提でないのなら、自分で主人公やテーマを共通させて、あとでまとめられるように考えて書かないと、本にできない短編が大量に溜まってしまう。私自身がそうなんです。

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森山 今も眠っている短編があるんですか?

 

額賀 デビュー直後に書いたものだけで10本くらいあるんですよね。分量だけなら2冊は作れるのに……。そうこうしているうちに古くなって、今さらどうしようもないという状態です。

 なんだか取り留めのないアドバイスになってしまいましたが、要はポジティブに、社会性を持ちつつ、図々しく作家業を続けてください、ということに尽きますね。肩の力を抜きつつ、空元気で、お互い頑張っていきましょう。

森山 ありがとうございます。頑張ります。

額賀 それと、仕事の愚痴や不満は、作家同士の小さな食事会のようなクローズドな場所で吐き出すのが一番です。そういう場で吐き出せずに熟成されていくと、ポジティブに戻れなくなってしまうので……。

森山 肝に銘じます……!

写真:三宅史郎

ひなたの中継点

森山 世衣

文藝春秋

2026年9月18日 発売

最初から記事を読む 「名もなき脇役にこそ面白さがある」小説家が語る駅伝の“魅力”と“怖さ”。額賀澪×森山世衣対談【前編】