若くしてデビューした作家のキャリア

額賀 作家生活10年目にもなると、「生きてりゃ何でもいい」という境地に入ってきました。デビュー8年目くらいまではそれなりに野心もありましたが、結局自分にできるのは小説を書くことだけなんですよね。それを本にして流通させるのは出版社だし、映像化は映像会社が動かないと実現しない。自分に手出しできないものに振り回される虚しさに気づくと、だんだんと「それよりも少しでも長く作家業をポジティブに続けよう」ということが目標になってきます。

森山 そういったキャリアによる変化は作品に反映されていますか?

額賀澪さんが松本清張賞を受賞した『屋上のウインドノーツ』

額賀 年齢的なものもあって、高校生を主人公にするときの視点は変わってきますね。25歳の頃は、まだ過去の自分の延長線上に高校生活がありましたが、距離ができてくると、自分の書く高校生が等身大の姿ではなく大人から見た視点になっていくんです。そうそう、出版業界って、デビューしたときの年齢で作家を認識し続ける傾向があって(笑)。

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森山 わかる気がします。

額賀 25、6歳でデビューした人が、ずっと若い作家として扱われがちなんですよね。私も、30代半ばになっても「今の若者を等身大で」という依頼がきたりします。でも自分は年を取るから、書くものも変わっていく。だからこそ色々なものを書いて、自分の可能性を周りに見せておいたほうが、その後のキャリアに繋がるのだと思います。