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部屋にいたのは「頬に傷のあるおじちゃん」
奥に通されると、貫禄のある2人のおじさんがこたつに当たっていました。
ひとりはしかめっ面で、もうひとりはニコニコと笑っています。
どうしていいかわからず立っていると、笑顔の方のおじさんが「智明」と僕の名前を呼びました。その声を聞いた瞬間、僕は幼いころの記憶を思い出しました。
頬に傷のあるおじちゃん。
その人は、僕が幼稚園ぐらいのころにそう呼んでいた人だったのです。
おじちゃんは父の友人で、お正月に会うと1万円をお年玉袋に入れて渡してくれました。あのおじちゃんが、親分の富二さんだったのです。
僕は改めて、親分に「若者(子分)にしてください」とお願いしました。
親分はお金を差し出すと、これで服を買ってこいと言いました。渡されたお札を数えると、全部で10万円もありました。
僕は若い衆に車で送ってもらい、事務所の近くにあった洋服屋に行きました。
派手なスーツや、キャラクターが大きくプリントされたトレーナーなど、いかにも極道が好みそうな服ばかり置いてあります。そこで一通り服を買い、事務所に戻ると、驚いたのは親分のひとことでした。
親分は、僕に「明日から部屋住みだ」と言ったのです。
