高知県に「幻の刺身」があるのをご存じだろうか。その名も「メジカの新子」。提供しているのは高知県でもごく一部地域のみで、県都・高知市ですらほとんど見かけない。
かつ漁獲も気まぐれで、晴れているのに水揚げナシの日があれば、悪天候なのに大量に獲れる日も。現地の方ですら「漁獲は予測できない、お手上げ」といい、秘境に行っても食べられるかは分からない「究極のギャンブルグルメ」である。
毎年のように高知入りして、食べるまで帰れない“メジカガチャ”に挑むほどに病みつきになる人もいるというメジカの新子、果たしてどんな味なのか。現地に行ってみた。
県外からも「新子目当て」に人が押し寄せる
メジカの新子が提供されているのは、基本的に高知県でも西部にある中土佐町と、東隣の須崎市のみ。9月、筆者はメジカの新子にありつける「久礼大正町市場」(中土佐町)に足を運んだ。平日にもかかわらず数十台の駐車場は朝からずっと満車状態で、高知だけでなく大阪、岡山、福井などの県外ナンバーも目立つ。
市場に何軒も並ぶ「メジカ小屋」の待ち客ボードに名前を書いて待つが、どの店も数十人が順番を待ち構えている様子。この周辺だけが新子目当ての人たちによる熱気で異様に蒸し暑かった。
なぜ、メジカの新子は「幻の刺身」と呼ばれるのか?
なぜメジカの新子は幻の刺身と呼ばれるのか。冒頭で触れた通り、まず「漁獲なし」が頻発する点が挙げられる。
特に2026年は、普段なら獲れるはずの8月末にほとんど水揚げされず、「船が出て親魚が獲れているのに、幼魚(=新子)が漁獲ゼロ」という事態が発生した。
「晴れていても海中にうねりがあると、幼魚がピタッと獲れなくなる」という事態もよく起きる。かと思いきや、大雨警報のさなかに大量に水揚げされ、行列もできず何事もなかったかのように販売されていることもあるという。


