路面電車のある町は……なんて話になったとき、決まって名前が挙がるのは広島や松山、富山といったところだろうか。もちろん北は札幌から南は鹿児島まで、路面電車が走っている町はあちこちにある。広島や松山は、そんな中でも代表格といっていい。

 そしてその流れで、「昔は東京や名古屋、大阪にも路面電車が走っていたんだよ」などという話になることも珍しくない。実際、東京には都電、名古屋と大阪には市電が走り、都市内交通を担っていた時代がある。

 いまでは地下鉄に取って代わられてしまったが、肥大化する大都市の中では路面電車で移動するのが当たり前、という時代があったのだ。それもまた、遠い昔の物語……。

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1980年に姿を消した大阪の路面電車「南海平野線」。その廃線跡にはいま何があるのか?

 と言いたくなるところだが、名古屋はともかく東京と大阪にはまだ路面電車が残っている。

 東京は、言わずもがなの都電荒川線。そして大阪にも路面電車が走っている。大阪と堺を結ぶ阪堺電車(阪堺電気軌道)の阪堺線と上町線だ。大阪を走っている路面電車は、この2路線だけである。

 だが、かつては阪堺線から分岐して郊外に伸びてる、もうひとつの路面電車があった。今池~平野間5.9kmを結ぶ南海平野線である。

阪堺電車阪堺線。手前に今船駅があり、奥に今池駅。今池駅からはかつて南海平野線が分岐していた
赤線が“消えた”南海平野線。1980年に廃止になった。今回はこの今池駅から平野駅までをたどる

“46年前に消えた”南海平野線…廃線跡には何がある?

 阪堺線は通天閣が聳える新世界の一角にあるターミナル・恵美須町駅から発する。大阪環状線の新今宮駅の高架を潜って堺筋沿いを南下し、西にあいりん地区を見ながら高架で今池駅へ。ここで南海平野線が東に分岐していた。