どうなるんだろう『報道ステーション』。小川彩佳アナがMC席から去り、その後任は、まさかの徳永有美という仰天人事を知ったときから、その行末を案じていた。
しかし十月一日からスタートした『報ステ』を見ると、もう駄目かな、どうにもならないかなという気になる。
初日のオープニング。富川悠太君がキャスター陣の変更を手短かに告げ、徳永アナに振る。すると満面の笑みを浮かべた彼女が「十三年ぶりの『報道ステーション』ですが(中略)ありのまま、自然に」ニュースをお届けしたいと、不自然なほど熱気のこもった挨拶を延々と喋る。
徳永さんの熱量とテンションが、声と笑顔、ともに他を何倍も圧しているため、画面のバランスが悪く、見る側はどうにも居心地が悪い。
この日のトップニュースは本庶佑氏のノーベル賞受賞だった。画期的なガン治療薬のオプジーボの効能を、富川君がフリップで説明する。「ガン細胞が免疫細胞の弱味を握って……」という解説なかばで「弱味ですかぁ」と大きくうなずき、意味のない合の手を入れる徳永アナ。リズムの乱れた富川君が、微かにイラッとした表情を見せた。
いまになって、小川彩佳アナの存在が、番組に安定感をもたらしていたと判る。富川君と小川さんの確執が報じられもしたが、画面上ではナイスな相棒に見えたけどね。
かつて古舘伊知郎のサブ時代は“余計なことを言うな”と高圧的に黙らされていた小川アナだが、富川君がメインになってからは「さて、小川さんは、どう感じます?」と必ず彼女のコメントを求めるようになった。小川さんの顔が明るくなり、自分の意見を口にするようになったのは、富川君の気配り故だ。
たぶん番組制作トップは、カラーを変えようとしてるのだろう。富川君、だからこそここが頑張りどころだ。
体操界のパワハラ問題を特集したとき、ベテラン女性元局アナの延々つづく塚原夫妻を擁護する発言に、君は疑問を呈することができなかった。
自民党総裁選直前の、安倍、石破両候補の生出演のときにも、安倍首相に国会同様ベラベラ喋らせるにまかせた。
恐らく政官の世界と似たような空気が番組内にも蔓延して、君の自由闊達さを奪っているんだろう。でも、ここで退いたら負けだよ。
降板させられてもいい。その覚悟で、君らしさを出して欲しい、そう願ってます。
▼『報道ステーション』
テレビ朝日系 月~金 21:54~23:15
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