平成元年(1989年)、横浜市みなとみらい21地区の開発に合わせて桜木町駅舎の大規模な改築が行われた。その後、1990年代前半まで、桜木町には2つの立ち食いそば屋があった。1つは今も営業している川村屋であり、あと1つは居酒屋兼業の店だった。しかし、なんという店名であったかが記憶にない。若かりし日に3~4回ほどその店で食べた記憶はあるのだが……。今回はこの曖昧な記憶をまず紹介したうえで話を進めていきたい。
あまり集客のよいエリアではないのによい評判が耳に入ってくる…
令和8(2026)年9月12日、JR関内駅からイセザキ・モール(伊勢佐木町商店街)を10分ほど歩いたところに「そば屋一力」という店がオープンした。
あまり集客のよいエリアではない。しかし、オープン直後からよい評判が耳に入ってくる。そこでさっそく取材に出かけることにした。
10月最後の日曜日、午前11時過ぎ、関内駅に降り立った。台風の余波か空模様は不安定で蒸し暑い。数年ぶりのイセザキ・モールを南下して行く。
街並も少し変化しているようだ。青江三奈の「伊勢佐木町ブルース」の歌碑がある路地を右に入ったすぐのところに店はあった。
70歳を超えているベテラン達が厨房を回している
店正面の高いところに「そば かつ丼 一力」の看板がきりっと配置されている。店に入ると、右手前が10人ほど座れるテーブル席、左奥の少し上がったところに6人が座れるカウンター席が並ぶ。
入口すぐのところで、仙台から来た常連さんと地元の方が酎ハイなどを呑んで盛り上がっていた。くつろいだ雰囲気。この辺りの日曜の横浜はどこもこんな雰囲気だ。
店に入ると「いらっしゃいませ、さ、どうぞ!」と厨房の端に座る方から元気なあいさつをいただいた。
その方が店の主人、御年70歳だという原元升康(のりやす)さんであった。
店員さんはみな年配の方々である。店の全般をマネジメントされている庄司宏通さんは67歳。
厨房スタッフも70歳を超えているベテラン達だ。






