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順位戦C級2組、昇級レースを制した佐藤和俊六段は「年齢を言い訳にしたくなかった」

参戦15期目、40代を迎えた棋士の思いとは――。

2019/03/11

 今期の名人挑戦者は豊島将之二冠に決まった。名人挑戦権を争うA級順位戦はトップクラス10名のプロが集まる、将棋界で大きな注目を集める戦場と言っていいだろう。

 対して最下級のクラスとなるC級2組順位戦はどうか。前期にC級1組に上がった藤井聡太七段のように、あっという間に上がる者がいるのは確かだ。今期のA級10名をみると、藤井のように1期抜けを果たした者こそいないが、羽生善治、広瀬章人、佐藤康光、久保利明、三浦弘行と、実に半数の棋士がわずか2期でC級2組を通過している。エリートにとってはすぐに通過すべき場所とも言える。

単純計算しても毎年1人は取り残されることになる

 だが、当然ながら「天才集団」と言われる将棋界の競争は激しい。勝敗が明確に定められる世界だからこそ、敗北にもがき苦しんで、A級へと連なる順位戦ピラミッドの最下層から脱出できない者もいるのだ。

 今期のC級2組は、49名で3つの昇級枠が争われた。プロ棋士は毎年4名誕生して順位戦に参加するので、単純計算しても毎年1人は取り残されることになる。先輩に追いつけず、同輩に置いて行かれ、そして後輩に追い抜かれるという焦燥は、当事者にしかわからないものに違いない。

すでに昇級を決めていた及川拓馬六段は、最終戦も勝って全勝で昇級に花を添えた

下位者10名ほどには「降級点」

 また、C級2組は棋士としてのピークを過ぎて、衰えてきた者が上位から落ちてくる場所という一面もある。そして、このクラスでも成績が悪化するとどうなるか。成績下位者の10名ほどには「降級点」がつけられて、これを3つ取ると順位戦参加資格を失うフリークラス棋士となる。フリークラスに落ちてからは、10年以内あるいは60歳になるまでに規定の成績を取らないと引退に追い込まれるのだ。

 上を目指す棋士の焦りと、強制引退へ至る危機感。それらが交錯するのがC級2組順位戦という戦場である。