確かにアドベンチャーだった!!
実際のところ、青梅線のどこがアドベンチャーか。現地で確かめるしかない。何もなければ青梅駅で降りて、昭和レトロの街並みや、青梅鉄道公園を見物すればいいや……と思ったら、こ、これは……。ごめんなさい。確かにアドベンチャーな路線だった。
まず車窓。立川から青梅までは市街地で、東京近郊の通勤路線と変わらない。こんなところでアドベンチャーみたいなアウトドアスポーツをされても困る。しかし、青梅駅を発車したとたん、車窓から眺めた景色は大きく変わる。多摩川の上流の谷が狭まり、線路の標高が上がる。山の緑の濃淡、青空が近くなる。車窓をテレビに例えると、ホームドラマからナショナルジオグラフィックにチャンネルを切り替えたくらい変わる。
乗客もアドベンチャーなスタイルが目立ってくる。登山の出で立ち、ピクニックに行く家族連れ。欧米人も多い。なるほど、中央線沿線に住む人々にとって、ここは小田急の箱根、東武の日光、西武の秩父、京王の高尾山などに匹敵するレジャーエリアだ。それにもかかわらず奥多摩の知名度は今ひとつ。もったいない。この地域の魅力を発信したら、青梅線のお客さんはもっと増える。JR東日本八王子支社は金のタマゴに気づいた。
カヌーで川を下ったり上ったり
たとえば御嶽駅。2019年3月に駅舎がリニューアルされた。新しい木の香り。待合室と情報発信スペースができた。レンタサイクルもある。駅から多摩川を渡る橋が見えて、その下が御岳渓谷だ。遊歩道をノンビリと歩いてみたら、カヌーを抱えた人々に追い越された。しばらく進むと、やってるやってる。カヌーで川を下ったり上ったり。たしかにアドベンチャーだ。
鳩ノ巣駅から白丸駅まで、多摩川沿いにハイキングコースが整備されている。吊り橋を渡って、鳩ノ巣渓谷を進む。思っていたよりアップダウンがキツい。息が切れる。まるで登山のようだ。若者の一団に追いつかれ、先を譲った。外国人のグループ。男子も女子も10代から20代くらい。日本語で「がんばれ」と声をかけている人が引率者。話しかけたら、日本語学校の遠足とのこと。そういえば、さっき吊り橋で盛り上がっていたけれど、あそこ「1度に5人まで」って書いてあったから気をつけてね……。