「青梅線の青梅~奥多摩間を“東京アドベンチャーライン”と呼びます。ロゴマークも作りました」

 そんなプレスリリースが2018年9月に公開された。正直、驚いた。いや、困惑した。鉄道路線の愛称としてはブッ飛んでいる。しかも青梅線だぜ、中央線が立川から分かれて、さらに拝島で五日市線と分かれて、どんどん山奥へ行く路線だ。東京の路線網としては枝葉末節。

ヘッドマークを付けた列車が東京アドベンチャーラインを走る

 たしか、石灰石を輸送するための路線だった。その貨物列車は廃止されて、都内では珍しい「静かなローカル線」だと思っていた。でも、奥多摩湖があるし、御嶽駅からバスに乗って御岳山へ上るケーブルカーもある。観光客を増やせる路線かも。

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名前を付ければ良いってもんじゃ……

 それにしても「アドベンチャー」はどうなんだ。いまさらJR東日本には釈迦に説法だけど、鉄道路線に対して、本来の路線名ではなく愛称名をつけるなら、わかりやすさとか、沿線の特徴とか、セオリーがあるはずだ。

 たとえば東京~黒磯間は正式には東北本線だけど、「宇都宮線」という愛称が付いている。行先が分かりやすい。ちなみに「高崎線」は大宮~高崎間の正式名称だ。東京~大宮間は愛称。直通運転だし、「宇都宮線」と区別するためにも正しい命名だ。関西だと「JR神戸線」「JR京都線」もナイスアイデア。陸羽東線は「奥の細道湯けむりライン」という長い愛称があって、あんまり便利じゃないけれど、松尾芭蕉が歩いたあたりで温泉宿があるんだな、という情報は伝わる。

 

 東武鉄道の「東武スカイツリーライン」もなんとなくわかる。「アーバンパークライン」は浸透に時間がかかりそうだ。なにしろ野田線のほうが言いやすい。ははぁ、なるほど。JR東日本は、アーバンパークラインみたいに「とりあえず名前を付けちゃって、ずっと言い続ければ、そのうち定着するだろう」なんて思っているのではなかろうか。