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熱中症予防は「手の甲を指先でつまむ」 脱水症になっていないか今すぐチェックする方法

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(3)エアコンは28℃で扇風機と併用

 要注意なのは高齢者だ。加齢とともに、のどの渇きを感じなくなり、暑さを感じる神経も衰えてしまう。全国で猛暑日の地点が相次いだ7月15日に熱中症とみられる症状で亡くなった8人全員が高齢者だった。

「高齢者の多くは普段から熱中症の一歩手前の『かくれ脱水』の傾向にあります。労働者や子供の熱中症とは違い、時間をかけて徐々に熱中症に陥る。そのため高齢者は梅雨明け後しばらくしてから搬送され、しかも回復せず死亡してしまうことが多い」(前出・三宅氏)

 熱中症にかかりやすいのは高齢者だけではない。子供は新陳代謝が盛んで大量の汗をかく上に、一度に多くの水分を摂れないため熱中症にかかりやすい。『熱中症対策マニュアル』監修者の稲葉裕順天堂大学名誉教授が警鐘を鳴らす。

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「子供は大人より外気温を高めに感じます。背の低い子供やベビーカーに乗った赤ちゃんは地面からの照り返しを受けやすいからです。ベビーカーにはひさしをつけてあげたり、外遊びは暑さのピークである正午から午後3時は避けましょう」

 直射日光の当たらない家の中でも油断は出来ない。東京消防庁によれば昨年救急搬送された高齢者の半数以上が住宅内で熱中症になっている。夏の室内で意外に危険なのはトイレと浴室だという。稲葉氏が言う。

エアコンや扇風機も適切に ©iStock.com

「トイレは狭い上に風通しが悪い。どうしても高温多湿になってしまうんです。同様に浴室もお湯と蒸気で高温多湿です。脱水症などを起こしやすく一人で長時間いることは危険です。換気扇をきちんと回すことを心がけてください」

 高齢者は嫌がる人も多いが、室内では冷房の使用が必須。五味クリニックの五味常明院長が適切な冷房の使い方を解説する。

「70歳以上の方は汗腺が衰えているため冷房を使わないと危険です。理想は設定温度を27~28℃にして外気温との差を少なくすること。28℃では熱中症になる恐れもありますから、扇風機を併用して空気を循環させてください。皮膚に風が触れることで汗が蒸発して体温も下がりやすくなります」