デモ隊を「ほうっておく」ことは出来なかった?
――では、今回の抗議運動に対しても、香港政府側は5年前と同じく「ほうっておく」という選択肢もあり得るのではありませんか?
田北辰 なるほど(笑)。それは面白い質問だな。ただ、この問題はちょっ
前回の占中(=雨傘革命)では、
今回の場合、香港政府側がデモ参加者を「ほうっておく」と、
だが、ひとたび警察が手を出せば、なにかしら誤りは犯してしまう。デモ参加者側はアジ文書を多く出してそれを批判し、警察側を憎むムードをかき立てていく。
中国の軍事介入は「引き延ばせる」か?
――日本のメディアは、中国内地の人民解放軍や武装警察が香港に介入する可能性に強い関心を持っています。香港政府は事態をどう回避しようとしていますか?
田北辰 私の見るところ、香港政府はそれを引き延ばそうとしている。自分
ひとつめは、抗議運動が激化するなかで人命が失われることだ。
ふたつめは香港警察が限界を迎えることだ。彼らがいよいよ疲弊して事態を押さえきれなくなると危うい。だが、そうした状況が起きない限りは、香港政府は(中央の武力介入を)引き伸ばせると思う。
北京に軍事部隊の要請をする万が一のケース
――ただ、激化する抗議運動の現状を見れば、犠牲者が出ることも警察の疲弊もあり得る話に思えます。
田北辰 仮に引き延ばせない状況となれば、行政長官はまず香港を戒厳状態にするだろう。夜間外出の禁止や(デモ隊がよくおこなう)マスク着用の禁止などさまざまな臨時的な法令が定まるはずだ。