1ページ目から読む
8/9ページ目

読者からの質問「小説を書く時、欠かせないものはありますか?」

読者からの質問

●新人賞に応募して作家になることと、応募しないでデビューすることでは、その後の作家生活に違いがあると思いますか?(40代男性)

中島 どうなんでしょう。やっぱり余所から入ったみたいな気持ちがあるから、小説家の友達はそんなに多くないんですよね。同じ新人賞でデビューしている人たち同士が仲良くしているのに比べると。でも同じ新人賞出身の人が全員、仲良くしているとも限らないですよね。それくらいで、他に違いがあるかどうかはちょっと分からないですね。

ADVERTISEMENT

●『地図集』(董啓章著、藤井省三・中島京子訳 2012年河出書房新社刊)のように、翻訳してみたい海外の書籍はありますか?(40代女性)

地図集

董 啓章(著),藤井 省三(翻訳)

河出書房新社
2012年2月21日 発売

購入する

中島 それは今のところ、特にないです。『地図集』は、アメリカのアイオワ大学の創作プロジェクトに参加した時に各国の作家たちと出会って、そこで知り合った作家の小説があまりに面白かったし、香港の作家の小説は日本では全然出ていないから、これは出さなきゃと思ったんですよね。今後もそういう出合いがあったら、突き動かされてやるかもしれません。

●ライター時代はどんな記事を書かれていたのでしょう。それは小説家としての自分に影響を与えていますか。具体的な作品があれば教えてください。(30代女性)

中島 いろんな人のインタビューを書いていました。君島十和子さんの本とか。「私は毎日、クリームで、このようにマッサージ。ここより下に下がっては駄目と筋肉に言い聞かせます」というような文章を書いていました(笑)。

 ライターの仕事でネタを豊富に与えられたと思いますね。すごく大事な経験でした。どの小説にも人物像とか、そういうところでちょっとずつ活かされていると思いますが、具体的に書いたのは先ほどもお話ししました、『のろのろ歩け』の北京のお話です。

●小説を書く時、音楽だったり、コーヒーだったり、欠かせないものはありますか?(20代女性)

中島 あまりそういうものはないですね。音楽もかけません。たまに、勢いをつけるために音楽をかける時はあって、それでムードに乗って書けたりもするんですけれど、後で読み返して「これはどうかな」と思うこともあります。なので儀式のように音楽をかけるようなことはないですね。

 本当に書けないなあと思った時は、小さなパソコンやiPadを持って、喫茶店やファミレスみたいなところに行くと仕事が進むということはあります。